失語症とは

失語症は言葉のわからない国に居るようなもの

私自身、失語症になったことはないのですが、考え事や目の前の仕事に没頭しているときに、他人からの伝言を伝えようとすると、伝言の内容や誰からの伝言なのかなどのキーワードが抜け落ちて、思い出せなくなることがあります。
これがひどくなった状態を失語症と呼ぶのだと思っています。
言葉や文字が読めない国にいきなり放り出された感じを想像したら、理解できるかと思います。
視力は問題ないので文字自体は読めますが、その内容の理解ができなかったり、数字の意味がわからなくて計算ができなくなったりします。
当然、話している内容も音としては聞こえますが内容が理解できません。
これは見知らぬ国で途方に暮れている状態に近いはず。
そんな状況を理解し、会話や文字などでわからない部分をわかりやすいように通訳して教えるのが、言語聴覚士の仕事です。
言葉や文字がわからない国に連れて行かれたら、誰しも不安になります。
そんな不安を取り除き、楽しい毎日が送れることを祈って、言語聴覚士はリハビリをしています。

どんな種類の失語症なのかを調べてから治療を始めます

言語聴覚士が失語症に関するトレーニングをするまえに、どんな種類の失語症なのかをいろいろな検査をしながら調べていきます。
失語症には、大きく分けて5種類の症状があります。
話している内容がわからない、計算ができない、声を出して文字を読んだり話している内容を復唱したりできない、言いたいことを文章に組み立てることができない、書かれている文章の内容を理解することができない、という5つがあるのですが、どれが1つというわけではなく、2つ以上の内容が重なっていることもあります。
症状が分類できたら、失語症の原因となった病気、例えば脳卒中などを治療しながら症状が落ち着いたところで、失語症の治療を始めていくわけです。
脳の病気なので、手足に麻痺があったりすれば、理学療法士や作業療法士と一緒にリハビリをしていきます。
他にも、担当医、看護師など、いろいろなスタッフが治療に関わりますので、患者さんの様子や回復の具合などの情報を共有して、チーム協力して最善の治療を施していきます。

失語症の検査内容とは?

失語症の患者さんが、どの程度、どんなことに対して障害がでているのかを最初に調べますが、「標準失語症検査(SLTA)」と呼ばれる検査方法で、約30項目にわたる内容を細かく調べていきます。
聞く力、話す力、読む力、書く力、計算する力の5項目をベースに、さらに細分化した項目について、検査を行っていきます。
検査時間は、1時間半程度かかるそうですが、病気で体が弱っていて、疲労がひどい場合は数回に分けて行うこともあるそうです。
この検査結果と、家族が患者とコミュニケーションをとるのに困っていることなどを聞き、総合的に判断してどういったトレーニングからはじめていくのが良いか、トレーニング内容とそのスケジュールを考え、家族と相談しながらリハビリを進めていきます。
外傷と違って、時間が経てば必ず直るというものではない点、直ったとしても病気になる前と同じレベルにまで回復するのは困難であることなどをきちんと家族に説明・理解してもらい、トレーニングに協力してもらいます。
こうすることで、患者も不安にならないですし、家族も回復の度合いがわかるので、治療の大変さが理解できます。